日本人学校への赴任が決まり、家族を帯同して海外で暮らすことになる――。この瞬間、多くの方が最初に抱くのは「本当に大丈夫だろうか」という不安です。

旦那が日本人学校に行きたいって言うんだけど…。子どももまだ小さいし心配で…
そんな不安を、赴任前のわたしも抱えていました。
こんにちは。笹島です。(プロフィールはこちら)
我が家は「在外教育施設派遣制度」を利用し、3年間東南アジアで暮らしました。渡航が決まったのは出発のわずか3カ月前。一般企業の海外赴任とは仕組みが大きく異なる点も多く、準備期間は不安と疑問だらけでした。それでも検索して得られる情報は限られ、「日本人学校ならではの実情」を知りたいのに、詳しい体験談はほとんど見つかりません。
実際に赴任し、3年間を終えて思うのは
「メリットは非常に大きい」ということです。
(メリット5選はこちら)
ただし、家族帯同での海外生活には確実にデメリットも存在します。
この記事では、日本人学校勤務ならではの事情を踏まえながら、家族帯同で感じたデメリットを4つ、実体験にもとづき整理しています。一般企業の海外赴任と重なる点もあれば、まったく事情が異なる点もあります。
これから赴任する方、帯同を悩んでいる方の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
医療面の不安(日本人学校への家族帯同で最初に直面する課題)

海外赴任で特に気になるのが、医療環境が日本ほど整っていない国で生活することへの不安です。
医療保険・費用・言語・救急体制などは、家族帯同では避けて通れない重要ポイントです。
保険と費用の現実
一般企業の駐在員であれば、
・キャッシュレス対応の海外旅行保険
・医療通訳サービス
などが企業負担で付帯しているケースが多くあります。
しかし、在外教育施設派遣の場合、海外医療保険への加入は完全に自己負担です。
我が家の場合、家族4人で3年間加入すると数百万円規模となり、現実的には加入が難しい金額でした。(参考「家族向け駐在保険の人気プランを徹底比較!」)
そのため、民間保険は諦め、公的保険を使いましたが、これは「3割負担」ではなく、
一度全額を支払い、後から払い戻しを受ける方式。
例えば、普段3,000円で済む診察が、海外では一度10,000円を支払い、後日7,000円戻ってくるという仕組みです。
立て替え負担が大きく、精神的にも経済的にも負担は大きいと感じました。
言語・救急・医療水準への不安
我が家の赴任先は先進国ではなく、
・救急車が存在しない
・医療水準が日本より低い
・英語や現地語で細かい症状を説明できない
など、日常的にも不安を感じる環境でした。
特に子どもがいる家庭では、
「もし夜間に高熱が出たら?」
「大けがをしたらどうすればいい?」
という心配は常にあり、心の負担は少なくありません。
我が家のケース(体験談)
私たちの地域には日系病院があり、日本語で診察を受けられる点は非常に安心材料でした。
料金は高額でしたが、公的保険の払い戻しがあるので、なんとか生活できるレベルでした。
しかし、コロナウイルス感染拡大の影響で日系病院が突然閉鎖。
これにより、医療面の不安が一気に高まり、赴任生活の中で最も心細く感じた時期でした。
幸い、大きなけがや病気もなく本帰国できましたが、振り返ると
「医療面の不安」は3年間ずっとつきまとっていた最大の課題
だったと感じています。
経済的にはマイナス収支になりやすい

海外赴任というと、「手当が出てお金が貯まる」というイメージを持たれがちです。
しかし、日本人学校への家族帯同の場合、経済的にはマイナスになるケースが多いのが現実です。
家族帯同は想像以上にお金がかかる
海外赴任手当や現地手当は支給されますが、
子どもを帯同すると、その手当だけでは到底まかないきれません。
特に大きいのが、子どもの学費です。
学費は現地手当の範囲内では収まらず、人数が増えるほど家計への負担は大きくなります。
我が家も例外ではなく、結果的に「マイナス収支」での帰国となりました。
「給料が2倍になる」は誤解
「日本の給料ももらえて、海外手当も出るなら、収入は2倍なのでは?」
これは非常によく聞かれる質問です。
確かに、単身赴任であれば貯金ができる可能性はあります。
しかし、家族帯同の場合はまったく別です。
我が家の場合、私は休職しており給与はゼロ。
さらに、
・生活費
・学費
・医療費
・日常の出費
が重なり、収支は大きくマイナスでした。
「帰国後に高級車が買える」という話は、正直なところかなり昔の話だと思います。
しかし近年は、「夫婦派遣枠」という制度も設けられています。
ご夫婦そろって教員の場合、条件が合えば2人とも派遣教員として赴任し、それぞれ収入を得ることが可能です。
「休職は避けたい」「キャリアを中断したくない」と配偶者の方が考えている場合には、検討する価値のある選択肢だと思います。
ただし、夫婦派遣枠の有無や条件は、自治体や派遣先の国・学校によって異なります。
「給料が単純に2倍になる」という話ではなく、制度の有無を早めに確認することが重要です。
それでも行ってよかったと思える理由
経済的な面だけを見れば、海外赴任は明らかに不利です。
ですが、現地での生活、子どもたちの成長、家族で過ごした濃密な時間は、
お金では換算できない価値がありました。
せっかく海外にいるのだから、と
・家族旅行
・現地ならではの体験
にお金を使ったことも、結果的にはすべて「経験値」として残っています。
そのため私は、
「経済的にはマイナス。でも人生としては大きなプラス」
だったと、今でも思っています。
簡単に帰国できない
海外赴任の現実として、日本人学校勤務の場合、基本的に3年間の帰国が難しいことを理解しておく必要があります。
一時帰国の制限と覚悟
一般企業の駐在員は、年に数回の一時帰国が可能であり、その費用も企業負担となるケースが多いです。
しかし、日本人学校の教員は、基本的に3年間帰国できないという厳しい現実があります。
一部の国では、教員の心身の保養のために一時帰国が1回認められる場合もありますが、全てのケースで保証されるわけではありません。
親族の理解と準備
赴任前に、親族の理解を得ることが重要です。実の両親からの反対を受け、踏み切れない方も少なくありません。
また、子どもを帯同する場合は、現地で調達できない学用品を3年分用意するなど、準備が必要です。
現地での適応と人間関係
現地になじめない場合、精神的な負担が大きくなります。
一般企業の駐在員であれば、日本へ帰国して休養をとる選択肢もありますが、日本人学校勤務の場合はその自由が限られています。
日本のもの・食材が高額
海外赴任先では、日本の食材や日用品は輸入品となるため、価格が非常に高くなるのが現実です。
食材の価格上昇と食費の負担
例えば、カレーのルーは日系スーパーで1箱500円以上。
日本食を作ろうとすると、食費は通常の2倍以上かかることも珍しくありません。
オンライン購入のコスト
モノによってはAmazonでの購入も可能ですが、送料や関税が高額になるため、結果的に価格が大幅に上昇します。
実際に、ランドセルや習字道具を3倍の価格で購入する家庭も少なくありません。
学用品の調達と渡航準備の難しさ
日本人学校では、日本の指導要領に沿った教育が行われるため、学用品の調達は大きな課題となります。
さらに、帰国が難しい上に、赴任時に持ち込める荷物の量にも制限があり、何を優先するかを考えるのは非常に大変です。
まとめ
デメリット4選をお伝えしましたが、私は海外赴任はメリットの方が大きいと思っています。メリットは5選にまとめましたが、デメリットは考えても5つになりませんでした 笑
チャンスがある方、挑戦できる環境が整っている方は是非、海外赴任も選択肢の1つに加えてください。
私はもう一度行けるなら行きたいと思っていますし、主人ももう一度行く気でいます。
悩んでいる方の参考になれば幸いです。
もっと詳しい情報が知りたい方はお気軽にお問い合わせください。




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