非常勤講師の収入が不安定な理由

非常勤講師の収入が不安定に感じられる理由を解説する記事のアイキャッチ画像 教員の退職と働き方

※この記事は、
公立小・中学校で教諭として勤務したのち、
非常勤講師という働き方を選んだ筆者の実体験をもとに書いています。
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非常勤講師って、勤務時間短くてよさそうだけど、やっぱり収入は不安定よね…?

このようなことでお悩みのみなさん。

実際に非常勤講師として勤務している私が、何が不安定で、なぜそう感じるのか、

非常勤講師の収入の仕組みをお話しします。

非常勤講師について他にも不安があるという方は、あわせて
教諭を辞める前に一番不安だったこと
の記事もお読みください。

非常勤講師の収入は、なぜ「不安定」に感じるのか

教室と黒板の写真。授業時間によって収入が決まる非常勤講師の働き方を表している

まず、非常勤講師の給与は月給制ではなく、時間給・コマ給になります。
たとえ、教諭や常勤講師と同じ勤務時間で働いていても、
非常勤講師の給与となるのは、授業時間のみです。

つまり、非常勤講師は「学校にいる時間」ではなく
「授業をした時間」に対してのみ、給与が発生する働き方になると言えます。

同じような働き方をしていても、毎月同じ額にはなりません。
週に何コマの授業を担当しているのか、給与はそれで決まります。

そして多くの自治体が、年間の決まった予算の中で非常勤講師を採用していますので、
年間の給与には上限があります。
この上限を超えないようにコマ数が割り振られます。
つまり、4月に授業のコマ数が決まれば、増えることはありません。

非常勤は不安定=収入が少ない、ではなく、
・自分が週に何コマ担当するのか
・採用元の自治体が定める上限はどのくらいなのか
によって収入が決まります。

不安定=4月にならないと収入が見えない
というのが「不安定」の正体かと思います。

理由① 雇用が「1年契約」である

3月のカレンダーの写真。年度ごとに契約が更新される働き方を示している

非常勤講師の収入が不安定に感じられる最大の理由のひとつが、
雇用が「1年契約」であることです。

年度ごとに契約が切れる仕組み

非常勤講師は、正式には「会計年度任用職員」という立場で任用されます。

会計年度任用職員とは、
自治体で働く1会計年度(4月1日~翌年3月31日)を任期とする非常勤の地方公務員のことです。
つまり、「1年契約」の雇用になります。

「会計年度任用職員、3月で大量雇い止めか」
というニュースも過去にはありました。

1年限りの雇用である以上、翌年の生活設計が立てにくい点は、
非常勤講師の働き方の大きな不安材料です。

現在は、教員不足などもあり、非常勤講師が不足しているのが現実ですが、
「来年度も働ける」という保証は原則ありません。

次年度が決まるのは3月中旬以降

さらに、「同じ学校で勤務したい」という希望がある場合、
それは難しいかもしれません。

非常勤講師の勤務先は、
教諭の異動が決まり、児童生徒数もある程度確定したあとに決まります。
たとえば、自分の担当する教科の先生が来年度は異動してくるので増える、
という場合は、非常勤講師は必要なくなります。

来年度仕事があっても、どこで勤務するかはわからない。
通勤時間が延びるかもしれない。
勤務日数に変更があるかもしれない。

教諭であっても異動先は3月頃まで見えないものですが、
非常勤講師はもっと遅い3月の終わり頃に決まる場合もあります。
教諭の場合は、仕事がないということはあり得ませんが、
非常勤講師は、3月まで待った結果「仕事がない」という可能性もゼロではありません。

この「仕事があるかどうか自体が、最後まで確定しない」という点が、
非常勤講師の収入を不安定に感じさせる大きな理由です。

この「1年契約」という仕組みがあるため、
特に非常勤講師1年目は、
「来年度、仕事が本当にあるのか」という不安が非常に大きくなります。

非常勤講師としての実績がまだなく、
人事の流れも見えない初年度は、
「収入がゼロになるかもしれない」という恐怖を感じやすい時期です。

理由② 勤務時間・コマ数が流動的

手帳とシャープペンシルの写真。授業コマ数や勤務時間が変わりやすい働き方を表している

非常勤講師の収入は、毎月一定ではありません。
その大きな理由が、勤務時間や授業数(コマ数)が固定されていない点にあります。

授業数(コマ数)で収入が決まる

すでに触れましたが、非常勤講師の収入は、
自分が担当する授業数(コマ数)によって決まります。

どのくらいのコマ数を担当してほしいのか、
これは学校の事情で大きく変わります
事前にコマ数について相談される場合もありますし、
もう決まっている場合もあります。

このくらいは稼ぎたいな…という希望があっても、
その通りになるかはわかりません。

また、上限が決まっている雇用形態もありますので、
もっと働きたいと思っていてもできない場合もあります。

自治体や学校によっては、
教材研究の時間を授業時間としてコマ数に含めてくれる場合もあります。
そうなると、授業で時間割が埋まりすぎず、少しゆとりをもって働けたらいいなと思うのですが、
非常勤講師の立場では、こうした希望が通ることはなかなかありません。

教師不足といわれる現在は、
どちらかというと、非常勤講師の先生には、
できるだけ多くのコマ数を担当してほしいと考える学校が多いと思います。

収入的にはありがたいですが、
全学年担当したり、特別支援学級も担当したりすると、
授業準備が大変です。

実際の働き方については
非常勤講師の1週間の働き方|高校と日本語学校を掛け持ちして分かった違い
の記事にまとめましたので、こちらもご覧ください。

途中でコマが減る・増えることもある

雇用形態が、療休や産休の代替の場合は、
年度途中で雇用が終了することもあります。

事前に雇用終了時期がわかっているとはいえ、
年度途中で、通常は異動のない時期に次の勤務先が決まるのか
これは非常に不安になる部分です。

このように、非常勤講師の働き方は、
自分の努力だけではどうにもならない部分が多く、
学校や自治体の事情に左右される部分があります。

これが、不安定に感じる1つの要因かと思います。

次の勤務先がすぐに見つからなければ、
一時的に「収入がゼロになる」期間が生じることも考えられます。

非常勤講師未経験の段階では、
この「空白期間」への不安が、
収入をより不安定に感じさせる要因になります。

長期休業期間は収入が発生しない

当たり前ですが、夏休みなど長期休業期間中は授業がありません。
つまり、収入は発生しません
この月は大幅に収入が減ります。

長期休暇中だけでなく、祝日の多い月や、
学校行事の多い月なども授業がありませんので収入は減ります。

コマ数を計算すれば、「1年間でこれくらいもらえる」という見通しは立ちます。
しかし、月ごとの収入差が大きいため、教諭時代と比べると、
どうしても不安定に感じてしまいます。

理由③ 社会的な保障が弱く、手取りが読みにくい

家計の書類と電卓の写真。税金や社会保険の負担で手取りが分かりにくい状況を表している

非常勤講師は、収入額だけでなく、
社会保障の有無によって「実際に手元に残るお金」が読みづらい働き方です。

非常勤講師は、社会保障制度への加入が雇用条件によって異なります。

私がこれまで出会ってきた多くの非常勤講師の先生は、
1週間の所定労働時間が20時間以下で、
社会保障制度に加入できないケースが多いという印象です。

ボーナス・退職金がない

雇用条件によりますが、基本的にはボーナス(期末・勤勉手当)はもらえません。
共済組合等にも加入しませんので、退職手当もありません。
年収は、月々にもらう給与のみです。

そのため、年収の見通しが立てやすい反面、
教諭時代のような「一時金による安心感」は得られません。

税金・社会保険を自分で払う場合がある

さらに、社会保障制度に加入しないということは、
税金や社会保険料を自分で支払わなくてはなりません。

結婚している場合には、配偶者の扶養に入るということもできますが、
非常勤講師として上限に近い年額をもらうほど授業を担当すると、
多くの場合、扶養に入れる年収を超えてしまいます。

教諭から非常勤講師に転職した1年目は、
前年度の給与額をもとに社会保険料が算定されるため、
収入が減っているにもかかわらず、高額な保険料を納めることになります。

これまで給与から天引きされていた社会保険料について、
私は本当に無知でしたので、1年目の支払い額には非常に驚きました

実際に私が受け取った退職手当の金額や、
退職後1年間に支払った税金・社会保険料については、
「40歳で教諭を退職!退職金と退職後に支払う税金額は?リアルなお金事情を公開」
で、具体的な金額とともにまとめています。

ただし、雇用条件によっては社会保障制度に加入することもできますし、
学校によっては扶養内で勤務させてくれる場合もあります。

事前に自分の希望する働き方を整理し、
雇用条件や社会保障の情報を集めておくことが大切です。

それでも「不安定=詰む」ではない

朝の光が差し込む道の写真。働き方の選択肢があることを前向きに示している

非常勤講師という働き方が、なぜ「不安定」に感じるのか。
その正体は、

・雇用が1年契約であること
・収入が定額ではないこと
・社会保障面が弱いこと

でした。
不安定さの正体が分かっていれば、対策を考え実行することができます。

掛け持ち・複業という前提

非常勤講師のよいところは、副業ができるということです。
1つの学校に所属することだけが選択肢ではありません。

実際に私は、午前と午後で2校に勤務しています。
非常勤講師1年目は 
・公立中学校×日本語学校
非常勤講師2年目は 
・私立高校 ×日本語学校
に勤務しています。

さらにオンラインで日本語を教える仕事もしているので、
「複業」の状態です。

教諭から非常勤講師へ働き方を変える際には、
「複業」を視野に入れた準備をすると、
「不安定さ」が軽減されます。

退職までの1年間で、私が実際に行った準備については、
教員退職から非常勤講師へ!失敗しない準備と働き方
の記事に詳しくまとめました。

教員免許があること自体がリスクヘッジ

学校の先生は、当然ながら「教員免許」を持っています。
教諭ではなく非常勤で働こうとするとき、
教員免許があるということ自体が強みになります。

自分がどの校種の免許を持っているのかによりますが、
小・中学校どちらの免許もあれば、校種の選択肢が広がります。
また、公立だけでなく、私立学校で募集があれば勤務することができます。

非常勤講師2年目は私立学校に勤務しましたが、
非常勤で働いている先生方が多く、中には何十年もお勤めの方もいらっしゃいました。
私立学校は先生方の異動がないことが多いので、
安定して雇用してもらえるようです。

さらに、市町村の予算からの雇用ではないので、働き方も多様です。
数校掛け持ちしているから曜日を固定してもらっている先生や、
私のように午前のみの勤務の先生、
扶養内で働けるように授業のコマ数を調整している方もいました。

学校ではなく、放課後の学童であったり
塾のような学習場所であったり
教員免許保持者の就職先は他にもあります

いろいろな就職先があることを意識して、
働き方の希望に合う場所を探すとよいのではないでしょうか。

収入の不安とどう向き合うか(考え方)

ノートとペンと電卓が置かれた机の写真。収入や生活について落ち着いて考える時間を表している

安定した教諭という立場を辞めて、
非常勤講師で働くという選択は、確かに多くの不安を感じます。

ただし、非常勤講師の収入不安は、「見えやすいもの」にすることで
「管理し、対応できるもの」だと私は考えています。

もちろん収入は減りますが、得られるものもあります。
私が感じたことは、
非常勤講師になって失ったもの・得たもの|教諭を辞めて見えた本音
の記事にまとめました。
経済的な面だけではない部分もこちらの記事に書きましたので、
あわせてご覧ください。

収入に対する不安は、すでに触れたように「複業」
収入源を1つではなく複数にする、ということも方法の一つです。

また、貯金額など分かりやすい数値を目安として、
「この金額を下回ったら働き方をもう一回考える」
というように、ボーダーラインを決めておくのもいいと思います。

目に見えないもの、先が読めないことは不安になりやすいです。
ある程度のボーダーラインがあれば
まだ大丈夫、と感じることができます。

このままの収入ではまずい!と思ったときも、
「教諭、常勤講師に戻る」という選択肢があります。
1,2年の間だけ常勤講師に戻る、ということは
比較的、現実的な選択肢です。

まとめ

すでに述べたように、非常勤講師の収入が不安定な理由は、
・雇用が1年契約であること
・収入が定額ではないこと
・社会保障面が弱いこと
という制度的な仕組みによるものです。

不安定だから、やっぱり非常勤講師はやめたほうがいい。
そうではなく、非常勤講師は働き方の選択肢の1つです。

不安定に感じるその正体が見えていれば、対策することができますし、
これは仕組み的に仕方のないことだと受け入れることもできます。

教諭を退職しようか考えている。
この状況にある人は、今とてもしんどい思いをしていたり、
時間の使い方に悩んでいたり、
いろいろな思いを抱えて日々最前線で戦っているのだろうと思います。

非常勤講師は、今の自分にあった働き方を考える上での選択肢です。
そして、教諭に戻ることも可能な、行き来できる働き方です。

この記事が、非常勤講師ってどうなのかな?
と、先生として働き続けるために、働き方を模索している方の
ヒントになれば嬉しいです。

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