※この記事は、
公立小・中学校で教諭として勤務したのち、
非常勤講師という働き方を選んだ筆者の実体験をもとに書いています。
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今の働き方を辞めて、非常勤講師もいいかなと思うけど…。私は非常勤講師に向いてるかな?
教諭という働き方を辞めて非常勤講師として働こうか…。
そう考えている方がこのブログにたどり着いてくださったのだろうと思います。
・果たして大丈夫なのだろうか?
・自分に向いているのだろうか?
・今と何が変わるのだろうか?
そんな不安を感じているのではないでしょうか。
実際に教諭から非常勤講師になった私が感じている
非常勤講師に向いている人・向いていない人
をお話ししたいと思います。
【非常勤講師に向いている人】
・収入の上下を冷静に受け止められる人
・働き方を自分で組み立てたい人
・授業づくりそのものを楽しめる人
【非常勤講師に向いていない人】
・毎月決まった収入がないと不安が強い人
・人事や制度に振り回されるのが苦手な人
・教師のやりがいを、生徒との関わりの中に見出す人
すでに非常勤講師になることを決意し、これから準備をする方は
教員退職から非常勤講師へ!失敗しない準備と働き方
の記事に詳しくまとめましたので、あわせてご覧ください。
非常勤講師は「楽な働き方」ではない

非常勤講師という働き方は、教諭として働いていた頃に比べて、拘束時間が大幅に短くなります。
その分、時間的なゆとりが生まれます。
その時間を、子育てや家庭の時間にしたり、趣味の時間にしたりできます。
しかし、時間が短い=楽ではありません。
何が楽ではないかというと、
・授業準備
・経済的やりくり
この2点です。
非常勤講師は、授業時間のみに給与が発生する働き方ですので、
基本的には自分の授業の時間だけ出勤すればOKです。
しかし、教諭を経験している方ならわかるように、
授業というのは、その時間だけで終わるものではありません。
準備があって、
そのあとノートを見たり評価したりという後処理もあります。
非常勤講師の先生には多くのコマ数をもってほしい、
と考える学校が多いですので、だいたい授業は詰まっています。
複数学年にまたがって授業を担当することもよくあります。
そうなると、準備やそのあとの仕事は、
授業外でやらなくてはなりません。
学校によっては、非常勤講師の先生にもテスト作成を頼む、
ということもあります。
テスト作成や採点は、
学校の外へ持ち出してできる作業ではありません。
このような状況から、家での仕事が増えたり、
朝早く行って仕事したり、
授業以外での仕事の時間を確保しなくてはならなくなります。
また、授業時数のみの給料になりますから、
経済的には教諭時代に比べて、収入は大幅に減ります。
1年間の契約であるという雇用面の不安もありますし、
社会保険料を自分で支払っていかなくてはならないという大変さもあります。
つまり、非常勤講師は「時間が短いから楽」という単純な働き方ではなく、
責任と自己管理が強く求められる働き方だと言えます。
収入面の不安定さについては
非常勤講師の収入が不安定な理由
の記事で詳しくお話しています。
非常勤講師に向いている人の特徴

収入の上下を冷静に受け止められる人
非常勤講師は、実際に行った授業の時間数に応じて給料が決まります。
長期休業中のように授業がない月は、給料が発生しません。
また、連休が多い月や学校行事で授業が少ない月、
インフルエンザなどで学級閉鎖になった場合も、給料は減ります。
そして、ボーナスもありませんので、
今まで収入が多くなると感じていた月もそうではなくなります。
教諭であれば、安定した額が毎月振り込まれます。
しかし、非常勤講師の給料は毎月変動しますし、
極端に少ない月も出てきます。
多くの自治体では、非常勤講師の給与に年間の上限が設けられています。
そのため、授業数が増えても上限を超えた分の給料は支給されず、
逆に上限に届かなければ、担当した授業分の給料しか支払われません。
つまり、実際にどれくらい授業ができたかわかるまで、
給料が確定しない不安定さがあります。
この収入が不安定であるという現実を受け止め、
毎月の額に左右されずに、家計を設計できる人は非常勤講師に向いていると言えます。
収入よりも、「どんな生活リズムで、どんな時間を過ごしたいか」
を優先できる人にとっては、この不安定さは受け入れ可能なものになります。
実際に私が受け取った退職手当の金額や、
退職後1年間に支払った税金・社会保険料については、
「40歳で教諭を退職!退職金と退職後に支払う税金額は?リアルなお金事情を公開」
で、具体的な金額とともにまとめています。
働き方を自分で組み立てたい人
非常勤講師で働くことの最大のメリットは
副業できることだと私は思います。
私は実際に午前と午後で、2校を掛け持っています。
やってみたかった仕事に挑戦でき、
新たな世界を見ることができています。
1つの仕事に縛られず、いろいろな場所で働きたい。
他にやってみたいことがある、
そういった方には、非常勤講師という働き方は合っています。
また、働くペースを自分で調整することができます。
たとえば子どもの送迎など、曜日によって働き方を調整したい、
といった指針があれば叶えることも可能です。
ただし、自分の希望は授業が始まる前、
つまり3月下旬から4月はじめに伝えなくてはなりません。
こういう働き方がしたい!という明確なビジョンがある人は、
非常勤講師に向いています。
私の実際の1週間の働き方については、
非常勤講師の1週間の働き方|高校と日本語学校を掛け持ちして分かった違い
の記事で詳しく紹介しています。
授業づくりそのものを楽しめる人
非常勤講師は、生徒と関われる時間が、授業のみになります。
ですから、担任や学年主任、部活動の顧問として生徒と関わる中で感じていたやりがいは、
非常勤講師という立場ではなかなか得られません。
しかし、毎日が忙しすぎた教諭のときよりも、
授業に集中して取り組むことができます。
すでに触れたように、授業準備は大変です。
それでも、授業づくりが楽しい人、
その学級、その生徒に合った授業を組み立てられることが嬉しいと感じる人、
そういったタイプの方は非常勤講師になっても得られるやりがいがあります。
教諭として働いていると、激務すぎて授業準備ができない。
もっと授業のことを考えたい。
でも、時間がなくてどうしようもない。
そういった思いを抱いている人は、非常勤講師になっても、
授業準備が苦にならずにできると思います。
私が非常勤講師として働く中で感じた本音は、
非常勤講師になって失ったもの・得たもの|教諭を辞めて見えた本音
に書きましたので、ご興味のある方は合わせてご覧ください。
一方で、非常勤講師という働き方は、
価値観によっては、喪失感や焦りを感じるなど、負担になることもあります。
非常勤講師に向いていない人の特徴

毎月決まった収入がないと不安が強い
すでに触れたように、非常勤講師の給与は実際に行った授業の時間数で決まります。
毎月の授業時数は、祝日や学校行事などによって変動します。
毎月それなりの額を安定的にもらっていた教諭のころとは大きく変わり、
収入は大幅に減少します。
安定した月給をもらい、年に2回のボーナスがある。
これが当たり前になってしまっていると、
特に非常勤講師の1年目は、
経済的にマイナスが続いているような不安な気持ちになります。
買い物や家族旅行なども、なんとなくしづらくなる感覚は、
人によっては強いストレスを感じるかもしれません。
毎日働くことに変わりはないのに、
これまでもらえていたものがもらえなくなると焦りを感じます。
安定した収入によって、精神的に安定できる人、
生活水準を維持していきたい人は、
非常勤講師という働き方は、ややしんどく感じる可能性があります。
人事や制度に振り回されるのが苦手
これまで述べてきたように、非常勤講師は基本的には1年契約です。
勤務先が新年度もあるのか、同じ学校に勤務できるのか、
来年度の見通しは3月末まで立たないこともあります。
この人事に対する不安定さに強いストレスを感じる人は、
非常勤講師という働き方は合っていないかもしれません。
この不安定さは、制度上の問題で自分の努力ではどうにもならない部分です。
受け入れるか、あらかじめ対策を立てるかしかありません。
私が教諭を辞めるときに最も不安だったことは
「4月から仕事あるのかな…」
ということでした。
詳しくは、「教諭を辞める前に一番不安だったこと」
の記事にまとめました。
教師のやりがいを、生徒との関わりの中に見出す人
中学校で担任をしていた頃、「卒業式」という場は特別なものでした。
特に、3年間持ち上がりで担任し続けられたときの卒業式は、
今でも、私の人生において忘れられない大切な1日です。
教師にとって、3月の区切りは大きなやりがいを感じるポイントだと思います。
この最後の1日を、子どもたちにとって素晴らしいものにできるように
日々奮闘している先生方は多いのではないでしょうか。
非常勤講師は、授業のみを行う立場ですので、
授業のない日は基本的には出勤しません。
学校によりますが、学校行事は授業ではありませんので参加しないことが多いと思います。
行事を通して見えてくる授業中だけではわからない生徒の一面や、
深まる関係性、
そういったものは非常勤講師の立場では得難いものです。
正直この点には、寂しさを感じています。
非常勤講師の先生は、生徒が1番に頼りにする先生にはなかなかなれません。
教師のやりがいや喜びを、授業以外のところで感じている人には、
非常勤講師という働き方は少し寂しい、
やりがいを感じにくく、物足なさを抱えやすい働き方になってしまうかもしれません。
それでも「非常勤講師」という選択肢を残す意味

教諭という立場で、最前線で働いていれば大きなやりがいを感じることがあります。
一方で、自分のライフステージによっては、辛く厳しく感じることもたくさんあると思います。
「あと何十年もこの働き方ができるのだろうか」
こういった不安を感じている人が、このブログを見つけてくださったのだろうと思います。
日々悩み、奮闘している先生方にぜひ、
「非常勤講師」という選択肢があることを知っておいてほしいと思います。
一度離れても、教諭に戻れる
教員の働き方には、実はさまざまな形があります。
一生教諭でいなければ、先生をやれない、ということではありません。
自分のライフステージに合わせて、
そのときに大切にしたいもの、時間を使いたいこと、
価値観に沿って働き方を選ぶことも可能だと、
私は考えています。
そのときに得られるもの、失うものを冷静に見比べ、
この期間は非常勤講師で働く、この期間は常勤講師で働く、
こうなったら教員採用試験に再チャレンジして教諭に戻る。
このような柔軟な働き方が、実は可能です。
周りに実行している先生方は少ないかもしれませんが、
そういう選択肢もある、と知っているだけで気持ちが楽になることもあります。
非常勤講師になったから、それでゴールではなく、
非常勤講師になってもまた、他の働き方への行き来が可能です。
退職前の準備で不安はかなり減らせる
非常勤講師という道を検討し始めた方にはぜひ、
準備期間を設けてほしいと思います。
雇用の不安定さと収入の不安定さは、
非常勤講師1年目は特に、強いストレスになる可能性があります。
私はこの2つの不安定さを「複業」という形で和らげています。
私が「複業」に向けて準備したのは以下のことです。
・これまでの校種にこだわらず、さまざまな校種で働くことを検討する
・自治体のホームページの採用情報や、教員向けの求人を扱っているサイトで情報収集する
・日本語教師としても働けるように、教諭時代から国家試験受験のために準備をする
退職までの1年間で行ったことや、注意点など
教員退職から非常勤講師へ!失敗しない準備と働き方
の記事に詳しくまとめましたので、あわせてご覧ください。
まとめ
「非常勤講師」という働き方が頭にうかんだとき、
そのときはきっと、時間的に精神的にきつい、しんどい思いをされている方が多いと思います。
私も夜10時帰宅が続いた教諭時代のある日、
本当に何のために働いているのだろうと暗い気持ちで帰路を運転していました。
非常勤講師という働き方を選択した今、
失ったものも、得られたものもあることを冷静に受け止め、
今はこの働き方がベターだと感じています。
ずっとこの立場かは、自分のことながら今は判断できません。
非常勤講師という働き方は、つらい毎日からの「逃げ」の手段ではありません。
自分のライフステージに合わせた働き方の、1つの選択肢です。
人生をかけた1大決心!ではなく、
よりよく生きる1つの道です。
ここまでお話ししたように、
非常勤講師には、向き・不向きがあります。
「自分はどうだろうか?」
正解は人それぞれ違います。
この記事が日々頑張る先生方のヒントになれば幸いです。



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