非常勤講師の年収はいくら?元教諭がリアルな月収・働き方を公開

非常勤講師の年収や収入のイメージ 教員の退職と働き方

教員を退職して非常勤講師になると収入はどれくらい?

学校で授業をする教師

非常勤講師の給与は「コマ給」で決まる

非常勤講師の給与は、「コマ給 × 実際に行った授業数」で決まります。

中学・高校で授業のみを行う公立学校の非常勤講師は、
「会計年度任用職員」として採用されることが多く、
年度ごとの職員ですから、自治体の1年間の予算の中での採用となります。

自治体によっては、年間で支払える給与額に上限が設定されていることもあります。
たくさん働けば給与が増えるのではなく、年収はある程度決まっていることになります。

1コマ(50分)の時給はだいたい3,000円前後の自治体が多いようです。
私の自治体は、2,870円でした。
そして、週20コマまでという上限がありました。
教育課程は35週を基本として組まれていますので、
2,870円×20コマ×35週=2.009,000円

この場合、年収はおよそ200万円程度になります。
月収にすると、2,870×20×4(1か月4週として)=229,600円
となります。

しかし、週20コマの授業が自分に割り当てられるかは時間割が確定しないとわかりません。
午前だけの勤務にしたいとなれば、空き時間0で5日間働くことになります。

さらに、これがコンスタントにもらえるわけではなく、
学校行事や長期休業などにより月々の額は大幅に変化します。

週のコマ数で月収が大きく変わる

例えば4月には、始業式や入学式、学級開きの1週間があります。
この間は時間割もまだ確定ではなく、授業がないことも多いと思います。
さらに4月~5月にかけてのゴールデンウィーク、春開催の体育祭と練習期間。
始めの2か月を考えても、授業時数は減ることが予想されます。

そして、8月は夏休みです。
当然、授業はありませんので給与は0になります。

このように、週のコマ数によって給与が大幅に変わるので、
今月は祝日が何日あるのか…どのくらい授業ができるのか…と、
教諭時代よりも、「今月はいくらになるのか」を意識するようになります。

【実例】非常勤講師の月収とリアルな年収

私は教諭を退職したあと、非常勤講師として働きながら、
日本語教師の仕事も組み合わせて収入を得ています。

現在は非常勤講師3年目ですが、ここでは1年目と2年目の実際の収入を公開します。
働き方は次の通りです。

  • 1年目:公立中学校+日本語学校+オンライン日本語講師
  • 2年目:私立高校+日本語学校+オンライン日本語講師

※日本語学校とオンライン日本語講師の授業料は、どちらも1コマ2,000円です。
※2年目から若干の昇給がありました。
※非常勤講師の実態がより伝わるように、4月〜翌年3月までの年度単位で計算しています。
※月収の目安=年収÷12か月

■非常勤講師1年目のリアルな年収・月収
私の非常勤講師1年目の収入をまとめると次の通りです。

仕事担当コマ数月収の目安年収(額面)
公立中学(非常勤講師)19コマ約16万円1,941,174円
日本語学校12~16コマ約9万円1,088,221円
オンライン日本語講師1コマ約8,000円92,000円
合計約25万8,000円3,121,395円

■非常勤講師2年目のリアルな年収・月収
2年目の収入をまとめると次の通りです。

仕事担当コマ数月収の目安年収(額面)
私立高校(非常勤講師)15コマ約12万6,000円1,511,250円
日本語学校16コマ約16万円1,902,382円
オンライン日本語講師1コマ約9,000円110,500円
合計約29万5,000円3,524,132円

私の場合は複数の仕事を組み合わせることで年収を補っています。
非常勤講師だけでは収入が不安定になることも多いため、
日本語教師の仕事を並行して続けています。

2年目の方が給与が増えているのは、日本語学校の勤務日が増えたためです。
基本は週16コマを担当していますが、午後だけでなく1日勤務する日も多くありました。

高校は試験期間中に授業がない日があるため、そのような日は日本語学校の授業を担当していました。
また、2年目になって仕事のペースがつかめたことで、長期休業中も日本語学校の授業がある日は勤務するようになりました。

授業準備にも慣れ、日本語学校から授業を任せていただける機会が増えたこともあり、結果として収入が増えました。

このように、非常勤講師の収入はコマ数や働き方によって大きく変わります。

教諭時代の年収と非常勤講師の収入を比較

年収を比較するグラフのイメージ

年収はどれくらい変わったのか(実際の比較)

退職前の教諭時代の年収と、非常勤講師になってからの年収を比較してみました。

教諭非常勤講師1年目非常勤講師2年目
年収(額面)6,740,431円3,121,395円3,524,132円

いくら複業しているとは言え、年収だけで見れば給与は半分です。

私の場合は、社会保険に加入できないタイプの非常勤講師です。
そのため、この年収から国民年金や国民健康保険を自分で支払う必要があります。
また、この年収では配偶者の扶養に入ることもできないため、
社会保険料はすべて自己負担になります。

収入は減るが「自由な時間」は増える

収入だけで見れば、年収はほぼ半分です。
家計への影響を考えれば、かなり大きな変化だと思います。

私にとって、この300万円分の差にあたる価値が「自由な時間」です。
私は、「子どもたちとの時間が増えたこと」が大きな価値だと感じています。

毎朝子どもたちと一緒に家を出て、16:30には退勤します。
17時には子どもたちと一緒に家にいることができます。

その日の出来事を聞いたり、宿題を見たり、
「あ、ノートがない!」という突然のことにも、
「じゃあ、今から買いに行こうか」というゆとりがあります。
夕飯とお風呂の支度をして、主人に「おかえり」を言うことができます。

教諭時代は早くても19時、20時の帰宅。
教諭を辞めようと決意したときは22時退勤が何日も続いていました。

子ども達は思春期になり、この貴重なときを一緒に過ごせていることは
私にとっては本当にありがたいことです。

主人も、私が家にいることで子どもたちがうれしそうにしているのが良かったと言っています。
以前は「今日はどちらが迎えに行くか」を毎日連絡し合っていましたが、
今はその心配がなくなり、主人も安心して仕事に集中できているようです。

非常勤講師の収入が不安定になる理由

月のスケジュールを確認するカレンダー

担当コマ数は年度ごとに変わる

非常勤講師として週に何コマ担当するのかは、年度ごと・学校ごとに変わります。
また、何年生を担当するのかも新年度になってみないと分からないため、教材研究の負担がどれくらいになるかも、実際に始まってみないと分かりません。

たとえば、
【中1のみ】週4コマ×4クラス=16コマ
であれば、教材研究は1学年分だけで済みます。

しかし、非常勤講師は教諭や常勤講師の先生方の時間割の隙間を埋める形になることが多く、
実際には学年をまたいで担当したり、特別支援学級の授業を任されたりすることもあります。

私の非常勤講師1年目(週19コマ)の内訳は次の通りでした。

【中1】4コマ×1クラス
【中2】4コマ×2クラス
【特支】中1×4コマ+中3×3コマ

このように、中1〜中3すべての学年に加え、個別支援が必要な特別支援学級も担当していました。
そのため、授業準備の負担はかなり大きかったです。

これは「教諭経験のある40代なら対応できるだろう」という期待値だったのではないか、と感じました。

長期休業や祝日で収入が減る

非常勤講師は授業を行った分だけ給与が発生する働き方です。
そのため、長期休業中は授業がなく、収入もありません。

たとえば夏休みがあるため、9月の収入は大きく減ります。
冬休みのあとも同様で、1月の収入は少なくなることが多いです。
また、祝日の多い月も授業回数が減るため収入が減ります。

教諭時代は「休めてうれしい」と感じていた祝日も、
非常勤講師になると少し複雑な気持ちになることがあります。

さらに、教諭の年収と大きく違うのがボーナスの有無です。
非常勤講師には、基本的にボーナス(期末手当)はありません。

社会保険に加入できない場合がある

公立学校の非常勤講師(会計年度任用職員)は、さまざまな採用のされ方がありますが、
社会保険には加入できない場合も多いです。

社会保険(健康保険・厚生年金)の加入基準は原則として

  • 週20時間以上勤務
  • 月額賃金8.8万円以上
  • 2か月以上の雇用見込み

などがありますが、実際の授業は1コマ50分ですので、
週20時間以上勤務を満たすには、コマ数をかなり持たなくてはなりません。
自治体によっては上限を設けていることもありますので、
その場合は社会保険に加入することはできません。

同じ会計年度任用職員でも、社会保険に加入できる採用のされ方もあります。
たとえば、

  • 学習支援員
  • スクールサポートスタッフ
  • 日本語指導員
  • 事務補助
  • 支援員

などです。

教員免許があれば採用される場合もありますので、
社会保険に加入できることを前提に働き方を考えてみたいという方は、
募集要項を注意して確認してみると良いと思います。

非常勤講師の収入が不安定になる理由については、こちらの記事で詳しく解説しています。
非常勤講師の収入が不安定な理由
私が非常勤講師1年目で支払ったリアルな税金額はこちらの記事にまとめています。

非常勤講師だけで生活できるのか

家計を計算する家計簿と電卓

非常勤講師として2年間働いてみて、生活すること自体は可能だと感じています。
ただし、以前のように十分な貯金額を確保するのは難しくなりました。

我が家は主人も教諭のため、これまでは夫婦共働きで安定して貯金をすることができていました。
現在は、その貯金額を減らさずに、できるだけ維持することを目標にしています。

そのため、主人のボーナスをこれまでよりも多めに家計に回してもらっています。
非常勤講師として働く場合、配偶者がいる方はパートナーの理解や家計の調整も必要になると思います。

また、我が家では新NISAやiDeCoも活用しているため、それらも含めて貯蓄として考えています。

扶養内で働くケース

非常勤講師は、配偶者の扶養内で働く人も多いです。
扶養の範囲で働く場合は、年収を

  • 103万円以内
  • 130万円以内

などに調整しながら勤務することになります。
そのため、週の担当コマ数は少なめで、家計の補助として働くケースが多いようです。

公立の学校に勤務する場合は、採用時点で扶養内勤務を希望することを早めに伝えておく必要があります。
なるべく多くのコマ数を柔軟に持ってもらいたいというのが学校側の気持ちです。

私立高校では、扶養内で働いている非常勤講師の方が多くいらっしゃいました。
異動がないため、次年度を見通しながらコマ数や出勤曜日を学校側と相談して決めていました。

学校によるとは思いますが、私が勤務していた私立高校では、先に非常勤講師のコマ数を決めてから時間割を作成していました。

科目数も先生の人数も多いため、条件のある先生から先に調整していくスタイルだったようです。
異動がなく、大きく先生方が入れ替わらない私立校ならではの仕組みだと感じました。

複数の学校を掛け持ちするケース

複数校を掛け持ちする働き方は、非常勤講師ではよくあるスタイルです。

ここまで見てきたように、非常勤講師として1つの学校に勤務するだけでは、
収入に少し不安が残ると思います。

ですから、複数の学校を掛け持ちして働く人が多いのです。
1校だけではコマ数が足りないことも多いため、

  • A校:週10コマ
  • B校:週8コマ

といった形で勤務するケースもあります。
ただし、学校ごとに時間割があるため、曜日や時間の調整が必要になります。
たとえば、午前と午後に授業を分けてもらう、固定の曜日にしてもらうといった調整です。

また、学校間の移動が発生することもありますので、
1日の中で2校勤務する場合は、近くの学校である方が働きやすいです。

私の実際の働き方はこちらの記事に詳しくまとめました。
非常勤講師の1週間の働き方|高校と日本語学校を掛け持ちして分かった違い

副業・複業を組み合わせるケース

非常勤講師の仕事に、別の仕事を組み合わせて働く人もいます。

たとえば

  • 日本語教師
  • 塾講師
  • オンライン授業
  • ライティングなど在宅ワーク

などです。

私の場合は

  • 非常勤講師
  • 日本語学校
  • オンライン日本語講師

という形で、複数の仕事を組み合わせて収入を作っています。

日本語教師の資格取得については、こちらの記事で詳しくまとめています。
日本語教師養成講座の評判|ヒューマンアカデミーとTCJ比較

夕方に学童などの放課後支援サービスを副業にしている先生もいらっしゃいましたし、
美術の先生はご自宅で絵画教室を開いていました。

非常勤講師の魅力の一つは、複業がしやすい働き方であることです。
時間の使い方を自分で調整できるため、自分の価値観に合わせて働き方を考えることができます。

私が非常勤講師という働き方を選んだ理由

収入よりも大きかった非常勤講師のメリット

一番のメリットは、我が子たちと過ごせる時間が増えたことだと思います。
子どもたちと過ごす時間も含めて、自分の時間が増えたと感じています。

私は「先生を辞めたい」ではなく、教諭の働き方では失っているものが多すぎると感じて
退職を考え始めました。

きっかけは、主人の日本人学校への赴任に帯同し、海外生活を経験したことだと思います。

現地で出会った多くの日本人が、自分の軸で生きていたこと
また、現地で暮らす外国人が大らかで生き生きと見えたこと

そういった環境が、自分の人生を見つめ直すきっかけになりました。
日本人学校へ家族で帯同!経験者が思うメリット5選

私が、一番大切にしたいと考えたのは、成長しどんどん大きくなっていく我が子たちとの時間でした。
生まれたころから保育園にお願いしておりましたが、思春期に差し掛かる今こそ、
そばで見守れたらいいなと思いました。

非常勤講師という働き方は楽ではありません。
結局土日は授業準備をしていることが多いのですが、私は楽しくできています。

教諭時代は、年齢とともに責任ある立場の仕事を任されるようになりました。
それはやりがいもありましたが、自分ではコントロールできない形で時間を奪われることに疲れていたのだと思います。

生徒指導や保護者対応、さまざまな行事の準備や運営、学年運営や会計の仕事。
授業準備はいつも後回しになり、歯がゆい思いをすることも多くありました。

今は、授業に集中できる環境です。
収入は確かに減りましたが、自分で設計できる時間を持てるようになったと感じています。

非常勤講師という働き方についてまとめましたので、あわせてご覧ください。
非常勤講師という働き方は誰に向いている?教諭を辞める前に整理したい判断ポイント

教諭を辞めて感じたこと

長年積み上げてきたキャリアを捨て、教諭を退職するということは
人生を左右する大きな決断のように思えます。

しかし辞めてみて思うのは、教諭にはいつでも戻れるということです。
実際、教員採用試験の受験年齢の上限は、近年多くの自治体で緩和されています。
50代でも受験可能な自治体も今は多く存在します。

経済的な面が心配ならば数年だけ常勤講師として働くということも可能です。
学校現場を離れているわけではありませんので、教員免許があってやる気があれば働き方は変えられます。

非常勤講師になってもちろん失ったものもありますが、
一度辞めたから全て無くなるというわけではありません。
詳しくはこちらの記事にまとめましたので、ご覧ください。
非常勤講師になって失ったもの・得たもの|教諭を辞めて見えた本音

現実的に収入は半分になります。
それよりも大切にしたいものがあると感じる方は、
一度非常勤講師の道を進んでみてはいかがでしょうか。
違ったなと思ったらまた戻ればいいのです。

教員としての働き方には、思っている以上に多くの選択肢があります

まとめ|非常勤講師の収入と働き方

ノートとパソコンで仕事を整理するデスク

「教員を辞めたいけど、非常勤講師ってどのくらいもらえるんだろう?」
そんな悩みを持っている方は、今大変な環境の中、最前線で仕事をなさっているのだろうと思います。

教えることは好きだけど、この働き方でいいのか。
教員の働き方は、1つではありません。
自分のライフステージや価値観に合った働き方があると私は考えています。

退職後の働き方については、こちらの記事にまとめました。
教諭退職後の選択肢6選|非常勤・日本語教師・複業まで経験者が解説【40代からでも働ける】

収入は教諭時代の約半分ですが、仕事量はそれ以上に減りました。
精神的ストレスで言うと、私の実感としては1/10になった感覚です。

日々悩みながらも、教育現場で戦っているみなさんの参考になれば幸いです。

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