※この記事は、
公立小・中学校で教諭として勤務したのち、
非常勤講師という働き方を選んだ筆者の実体験をもとに書いています。
非常勤講師や日本語教育に関わる働き方について情報発信をしています。
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教師の仕事を辞めたいけど…。後悔するんじゃないかな…
「教員を辞めたいけど、後悔するのが怖い」
そんな不安を感じていませんか?
この記事を読めば、「教員を辞めて本当に後悔するのか」「辞めた後に何を失うのか」、そして「それでも後悔しない人の考え方」まで具体的に分かります。
私は十数年公立小中学校で働き、40歳で退職しました。
退職して2年が経ちました。
結論から言うと、教員を辞めたことに後悔はしていません。
ただ、「これを手放したんだな」と感じる瞬間は正直ありました。
私が実際に感じた「失ったもの」は大きく分けて3つあります。
結論|教員を辞めて後悔はしていない

教諭を辞めて2年間、非常勤講師として働いてきました。
教諭という立場は辞めましたが、学校現場で引き続き働いています。
教師を辞めたいけど、不安だという方がまず考えるのは、
経済的な面ではないかと思います。
この2年間を終えて、「後悔」は全くしていません。
ですが、経済的な面だけではない「失ったもの」があると感じています。
私が感じている「失ったもの3つ」についてお話していきます。
この記事では、
・教員を辞めて後悔しているのかどうか
・実際に感じた「失ったもの」とは何か
・それでも後悔しない理由
について、実体験をもとにお伝えします。
教諭を辞めて感じた「失ったもの」3つ

後悔はしていませんが、教諭という立場を離れてみて「失った」と感じるものはいくつかあります。
実際に非常勤講師として働く中で強く感じたのは次の3つです。
①生徒と深く関われなくなった(教諭を辞めて感じた変化)
結論から言うと、非常勤講師になると生徒と深く関わることは難しくなります。
非常勤講師は授業が主な役割で、会議や学級経営には関わりません。
出勤は授業前、退勤は授業後のため、生徒の情報が自然に入ってくる環境ではなくなります。
その結果、授業中に見える姿以外の部分が分からなくなりました。
例えば以前は、
「昨日の試合、シュート決めたんだってね!」
「この前の発表、堂々としていてよかったね」
といった声かけが自然にできていました。
しかし今は、授業での様子しか分からないため、
その生徒にとって何が必要な言葉なのか判断が難しくなりました。
生徒の変化に気づき、日常の中で関わることができる立場を手放したことは、
今でも少し寂しく感じています。
②学校の中心的な役割から離れた
また、非常勤講師になると学校の中心的な役割からは離れることになります。
教諭時代は、担任や学年主任として学校の運営や行事にも深く関わっていました。
しかし非常勤講師になると、学校行事に参加する機会はほとんどありません。
体育祭や合唱コンクールも、どのように取り組んでいるのか、
結果がどうだったのかを後から知ることが多くなりました。
学校という場所は、授業だけで成り立っているわけではなく、
多くの役割と関係性で支えられているのだと実感しました。
・生徒の成長は授業だけで決まるものではないこと
・学校生活全体が影響していること
・非常勤講師の役割はその一部であること
こうした点に気づいたことも、教諭を辞めて感じた変化の一つです。
③収入と将来の安定を失った
そして、経済的な安定は確実に下がります。
収入は教諭時代の約半分となり、経済的な安定は確実に下がりました。
収入がどのくらい下がるのかは、事前に具体的な数字で把握しておくことが重要です。
▶非常勤講師の年収はいくら?元教諭がリアルな月収・働き方を公開
収入については、ボーナスもありませんし、授業が少ない月は収入が大きく減ります。
これまで給与から支払われていた社会保険料も自分で払わなくてはなりません。
退職金の金額や、退職後1年間に実際に支払った税金・社会保険料については、
「40歳で教諭を退職!退職金と退職後に支払う税金額は?リアルなお金事情を公開」
で、具体的な金額とともにまとめています。
また、病気や事故など自分に何かあったとき、
教諭という立場でいれば、守ってくれるものがあります。
休職することもできますし、福利厚生面が充実しています。
しかし、非常勤講師にはそういった守ってくれるものがありません。
働けなくなった場合、収入もゼロです。
これまで以上に自分の身体が資本となります。
そして、退職金もありませんので、「安定した老後」という見通しは失うことになります。
将来のことを考えて不安になる…という方は、
非常勤講師という働き方は少しリスキーかもしれません。
非常勤講師の待遇が悪いというよりも、
正規教諭の保障がそれだけ手厚い、という表現のほうが正確かもしれません。
こうした「失ったもの」は確かにあります。
それでも、私は教諭を辞めてよかったと感じています。
それでも教員を辞めてよかったと思う理由

家族との時間が増えた
教諭を辞めて1番よかったことは、子どもたちとの時間が増えたことです。
退職直後の4月、早下校の娘たちと桜を見に行きました。
夕方、宿題を一緒にやりました。
このような何気ない日常に、涙が出ました。
一生懸命に仕事をしていたことに後悔はないけど、
自分が失っていたものの大きさに改めて気がつきました。
教諭時代は22時帰宅が続き、心身ともに余裕がありませんでした。
子どもたちから「本当は寂しかった」と後で聞いたときは、胸が締めつけられる思いでした。
今は「お母さんがいてくれて嬉しい」と言ってくれます。
この何気ない日常が、何より大切だったと感じています。
心の余裕を取り戻せた
もうひとつのよかったことは、心の余裕を取り戻すことができたことです。
収入は半分だけど、精神的ストレスは1/10以下だな…。
これが教諭を辞めて感じていることです。
教諭時代はさまざまなトラブルに対応しなければなりません。
ときには自分にはどうにもならないことで、つらい思いをすることもあります。
怒りや悲しみ、あまりのストレスから寝られない日もありましたが、
今は心穏やかに、過ごすことができています。
時間にゆとりがあれば軽い運動をすることで心身ともにリフレッシュできていると感じます。
強いストレスは、それだけ責任の重い立場にいたということでもあります。
教諭の仕事はやりがいはとてもあります。
ただ感じていたストレスは、やはり家庭に影響していたのではないかと感じています。
その点、今は非常勤講師ならではの忙しさ(授業準備など)はあるものの、
心のゆとりを取り戻せたと思います。
働き方を自分で選べるようになった
それから、働き方を自分で選べるようになったこともよかったことです。
教諭を辞めたことで、生活や働き方は大きく変わり、収入は減りました。
しかし、働き方を自分で選び自分軸で人生を設計できるようになりました。
やりたいことを働きたい場所でできることは幸せなことです。
また、複数の自分の居場所があるということも私にとっては楽しい環境です。
人間関係も広がり、さまざまな人生経験をお持ちの方の話を聞くことができました。
生徒と距離ができて寂しいと感じていることは事実です。
しかし、日本語学校の学生とは2年間共に過ごし関係を築くことができました。
日本語学校は2年で卒業ですので、卒業式は感慨深かったですし、
卒業のお祝いの席では、学生の国の料理を一緒に食べ素敵な時間を過ごしました。
手放したものの先には、新しく得られるものもあると感じました。
非常勤講師という自由度の高い立場だからこそ、
多くの出会いに恵まれました。
これも新しい仕事に挑戦できたからです。
新しいキャリア(日本語教師)に出会えた
最後に、新しいキャリアとして日本語教師を始められたことは大きな転機になりました。
非常勤講師という経済的に不安定な働き方をする上で、仕事の選択肢が増えたことはよかったことです。
海外生活を経て、日本語教師という仕事に興味をもち、退職の1年前から教諭として働きながら準備を始めました。退職までの1年間にどんな準備をしたのかは、こちらで具体的にまとめています。
▶教員退職から非常勤講師へ!失敗しない準備と働き方
退職直後の4月から、日本語学校での勤務を始め、2年間のキャリアを積みました。
その間に国家資格である「登録日本語教員」の試験にも合格することができました。
この資格のおかげで、公立校でも日本語を教えることができるようになりました。
働き方の選択肢を広げることができたことは、よかったことの一つです。
私は国語の教員ですが、日本語教師とは相性がいいと思っています。
国語の先生方の次のキャリアの選択肢として考えられるものです。
国語教師がなぜ日本語教師に向いているのかは、こちらで詳しく解説しています。
▶教員退職後の進路に迷ったら|国語教師が日本語教師に向いている理由
こうした変化を通して、「失ったもの以上に得たものがある」と実感しています。
ここまで読んで、「自分も働き方を変えたいかもしれない」と感じた方は、
まずは情報収集から始めるのがおすすめです。
私自身は、退職前に日本語教師の資格について調べ、
養成講座を比較したことで、次の一歩を具体的にイメージできるようになりました。
▶日本語教師養成講座の体験談・比較はこちら
教員を辞める前に考えておきたいこと

①「向いている・向いていない」は必ず一度整理する
非常勤講師になるか迷っているなら、まず「向き・不向き」の整理は必須です。
非常勤講師という働き方には、向き・不向きがあります。
収入の安定よりも時間を優先できるか、自分で働き方を組み立てられるかは大きなポイントです。
▶︎詳しくは「非常勤講師という働き方は誰に向いている?教諭を辞める前に整理したい判断ポイント」で整理しています。
②「お金」と「不安定さ」は想像以上に大きい
非常勤講師になるうえで一番覚悟が必要なのは、「お金」と「不安定さ」です。
非常勤講師になることの不安は
・毎年安定して仕事があるのか
・収入が減って、生活ができるのか
という点だと思います。
特に1年目は、ボーナスがない上に社会保険料や住民税の支払が高額で、
収入が激減した感覚になります。
そこに車検や子どもの塾の費用などが重なると残高が目減りしていくので、
本当に辞めてよかったのかと気持ちが焦ります。
長期休業などで月ごとに収入が変わることも不安要素です。
毎年恒例だった家族旅行もなんとなく行きづらくなりますし、
外食も考えて行くようになります。
これまで全く気にならなかったパートナーや子どものお金の使い方にも
敏感になってしまうこともあると思います。
どのくらい減るのか。
1年目にどんな支払いがあるのか。
1年目はこれくらい減ると想定し、その状況に耐えられそうか。
お金がないことは、焦ったり不安になったりという気持ちを生みます。
一度、具体的な数字にして考えてみてほしいと思います。
③「辞めた後どうするか」をざっくりでも決めておく
退職後の働き方は、辞める前に必ず方向性だけでも決めておくべきです。
教員として非常勤講師という道で続けていくのか。
別の仕事に就くのか。
それともしばらくは仕事をしない生活を選ぶのか。
いずれにしても、経済的な不安はつきまといます。
私はこの不安を緩和できるよう、「複業」すること前提で退職準備をしました。
この考え方があれば、非常勤講師の仕事を探すときにも「午前勤務」前提で探すことができます。
私は、退職前の1年間は不安というよりも次の4月からの生活を設計していたので、
仕事をしながら次の準備をしているという感じで忙しかったです。
そしてその忙しさは新たな人生に向けて前向きに進んでいるという実感がありました。
だから私にとって退職は、「つらいことから逃げた」という感覚よりも
新しい道への第一歩というイメージです。
「先生を辞めよう」の先の未来を
・どうしたいのか
・何をしてみたいのか
・どんな人生にしたいのか
という視点で考えてみてください。
④「それでも辞めたいか」で判断する
最後は、「それでも辞めたいか」で判断するしかありません。
「もう先生ができません」
と突然退職してしまう方にみなさんも出会ったことがあると思います。
しかし、後悔するかもしれない…とこの記事にたどり着いてくれた先生方は、
これからのご自身の進む道をよく考えているところだと思います。
私は退職という道に進みましたが、それだけが正解ではないと思います。
そして、つらさを抱えたまま我慢して仕事を続けることも正解ではないと感じます。
教員の働き方はひとつではない、と私は考えています。
悩んでいる、苦しんでいる先生方は本当に多く、そういう方々に選択肢を知ってほしいと思い記事を書いています。
お金の不安、やりがいを失うかもという不安。
今の環境を変えるということには勇気がいります。
退職したい、でもそれはすべての不安が消えてから、というのは現実的ではありません。
自分が不安に思っていることを整理して、
それを受け止められるのか、対処方法はあるのかを見つめ、
それでも「今の働き方を変えたい」と思ったときには
行動してください。
退職だけが答えではありません。退職せずに働き方を変える方法についてはこちらに詳しく書きました。
▶「教員を辞めたい」と思ったときに知ってほしい|辞めずに環境を変える4つの方法
→ 退職以外の選択肢も知っておきたい方へ
退職するとしても、その先の選択肢も多岐にわたります。
まだ迷っている方は、「辞めた後の選択肢」を具体的に整理してみてください。
そのあたりはこちらの記事で解説しています。
▶教諭退職後の選択肢6選|非常勤・日本語教師・複業まで経験者が解説【40代からでも働ける】
まとめ|後悔はないが、失うものはある

教員を辞めるという選択には、確かに失うものもあります。
それでも、自分の価値観に合った働き方を選ぶことで得られるものもあります。
大切なのは、自分が「何を優先したい」と思っているのかを見極めることです。
何かを選べば何かを失いますが、それを知ったうえで対策することは可能です。
「教員を辞めたい」という気持ちを整理し、
何を手放せば、自分の理想の働き方に近づけるのか。
焦らず整理しながら、自分にとって納得できる選択を見つけてみてください。
悩みながらも日々最前線で働く先生方の参考になれば幸いです。



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