※この記事は、
公立小・中学校で教諭として勤務したのち、
非常勤講師という働き方を選んだ筆者の実体験をもとに書いています。
非常勤講師や日本語教育に関わる働き方について情報発信をしています。
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教師の仕事がつらい…もう辞めるしかないのかな…
日々最前線で働いている先生方、本当に毎日お疲れさまです。
「あぁ、もう辞めたい…」教諭時代、何度も頭をよぎった言葉です。
毎日の授業や生徒指導、部活動に保護者対応、年齢と共に増えていく多岐にわたる業務。
毎日忙しく働く中で、「環境を変えたい」と感じる先生方は少なくありません。
私はさまざまな経緯があり、退職という道を選びました。
詳しくはこちらの記事にまとめましたので、ご覧ください。
▶教員退職から非常勤講師へ!失敗しない準備と働き方
しかし実は、教員は退職しなくても環境を大きく変える方法があります。
例えば次のような選択肢です。
・海外の日本人学校で働く「在外教育施設教師派遣制度を利用」
・配偶者の海外赴任に帯同する「配偶者同行休業」
・自治体の研修や企業派遣制度を利用する
・大学院などでの学び直し
などです。
私自身は、教員として働きながら配偶者同行休業を利用して海外生活を経験しました。
学校現場を離れて生活したことで、
「本当に自分が大切にしたいことは何か。どんな働き方をすればいいのか。」
を見つめ直すきっかけになりました。
詳しくは、「日本人学校へ家族で帯同!経験者が思うメリット5選」で解説しています。
この記事では、教員を辞めずに環境を変える4つの方法を紹介します。
特に、私が実際に経験した配偶者同行休業のメリットや注意点については、リアルな体験をもとに詳しく解説します。
「辞めるかどうか」で悩んでいる先生こそ、ぜひ一度読んでみてください。
この記事でわかること
・教員を辞めずに環境を変える4つの方法
・配偶者同行休業のメリットと注意点
・教員が海外生活を経験する主な方法
① 在外教育施設教師派遣制度|海外の日本人学校で働く

日本の教員が海外で働く方法として代表的なのが、在外教育施設教師派遣制度です。
在外教育施設教師派遣制度は、文部科学省が実施している制度で、
日本の公立学校の教員が海外の日本人学校などに派遣され、
現地で日本の教育課程に基づいた授業を行う仕組みです。
派遣期間は一般的に2〜3年程度で、期間終了後は日本の学校に戻ります。
海外で教育経験を積めることは大きな魅力です。
主なメリットとしては、次のような点が挙げられます。
・海外で生活しながら教育に関われる
・国際的な視点を身につけられる
・教員としてのキャリアの幅が広がる
ただし、派遣枠は限られており、
自治体によっては倍率が高い場合もあります。
例えば私の住む県では、毎年20名程度の採用がありますが、
派遣先で出会った先生の中には「自分の県では2名しか採用がなかった」
という方もいらっしゃいました。
また、生活環境や文化の違いに適応する必要もあります。
家族がいれば子どもの教育等、配慮しなければならないことはたくさんあります。
家族帯同で3年間生活し、感じたデメリットはこちらの記事にまとめました。
▶日本人学校へ家族で帯同!経験者が思うデメリット4選
海外で教員として働きたい人にとっては魅力的な制度ですが、
応募条件や選考方法は自治体によって異なるため、
まずは教育委員会の募集情報を確認することが大切です。
応募には、所属校の校長先生の推薦が必要ですので、校長先生に相談してみるのもいいと思います。
採用までには、都道府県教育委員会の面接、その後文部科学省の面接が必要となります。
一方で、海外に行く方法はこの制度だけではありません。
配偶者の海外赴任に合わせて、教員のまま海外生活を経験する方法もあります。
それが「配偶者同行休業」です。
② 教員の配偶者同行休業で海外に帯同する

教員が海外生活を経験する方法は、日本人学校への派遣だけではありません。
配偶者の海外赴任に合わせて海外に帯同する「配偶者同行休業」という制度もあります。
これは、公務員が配偶者の海外勤務などに同行するため、一定期間仕事を休むことができる制度です。
退職とは違い、在職したまま休業できるため、帰国後は復職することが可能です。
私自身もこの制度を利用して、家族で海外生活を経験しました。
学校現場を離れて生活してみると、働き方や人生について改めて考える時間を持つことができました。
ここからは、制度の概要と、実際に利用して感じたメリット・注意点を紹介します。
配偶者同行休業はどんな人が利用できる?
配偶者同行休業は、配偶者が海外赴任などで長期間日本を離れる場合に、
公務員がその配偶者に同行するために取得できる休業制度です。
地方公務員である公立学校の教員も対象で、一定の条件を満たせば利用することができます。
休業期間は自治体によって多少異なりますが、最長3年程度とされていることが多く、
期間終了後は元の自治体に復職することになります。
退職とは異なり、
「一度学校現場を離れて生活してみたい」
「海外で家族と過ごす時間を持ちたい」
といった希望を実現できる制度です。
この制度は、公務員である配偶者が海外勤務などで日本を離れて仕事をする場合に利用できます。
そのため、配偶者の海外赴任のタイミングや家族の状況などをよく話し合うことが大切です。
子どものこと、自分の両親、配偶者の家族、そして自身のキャリア。
考え始めると多くの課題が見つかり、「行きたかったけど諦めた」という先生方も周りには多くいらっしゃいます。
もし、いろいろなタイミングが合っているならば、選ぶ価値のある選択肢だと思っています。
実際に感じたメリット
配偶者同行休業を利用して海外生活を経験し、私が感じたメリットはいくつもあります。
まず大きかったのは、家族と過ごす時間が圧倒的に増えたことです。
教員として働いていると、授業準備や部活動、行事などで帰宅が遅くなることも多く、
家族とゆっくり過ごす時間を確保するのは簡単ではありません。
しかし海外生活では、子どもと過ごす時間が大きく増え、
日々の生活を一緒に楽しむことができました。
また、学校現場を離れたことで、
自分の教員人生を客観的に見つめ直す時間も持つことができました。
海外生活の中で日本語教育に興味を持ち、
その後、日本語教師を目指すきっかけにもなりました。
▶教員退職後の進路に迷ったら|国語教師が日本語教師に向いている理由
知らないと困る注意点(お金・制度)
一方で、配偶者同行休業には事前に知っておかないと困る点もあります。
特にお金や制度に関する部分は、しっかり確認しておくことが大切です。
例えば次のような点です。
①国民年金の支払い
休業期間中は給与が支給されないため、
年金の扱いがどうなるか確認する必要があります。
私の場合は、給与からの支払いができなくなるので請求書が郵送されてくるという支払い方でした。
そのため、両親にお金を預けて支払ってもらっていました。
海外にいると、日本への送金というのは非常にハードルが高いです。
かわりに支払ってもらうには額も大きかったので、まとまったお金を預けていくことにしました。
②住民税の支払い
住民税は前年の所得を基準に課税されるため、
休業して収入がなくても支払いが必要になることがあります。
そして出発までにその額がわからないため、
国民年金同様、両親にお金を預けて、そこから支払ってもらっていました。
ただし、2年目からは前年の収入がありませんので、あまり心配はしなくても大丈夫です。
③健康保険
健康保険に関しては、在外施設で実際に働く配偶者の健康保険に家族として入る、
という形になりましたので、そちらでの支払いとなりました。
④固定資産税
⑤奨学金返済
私の場合は、④⑤の支払いもありました。
固定資産税は毎年額が変わり、通知が来ないと支払えないのでこちらも両親にお願いしました。
⑤奨学金については、無収入になることを申請して返還期限の猶予申請をしました。
⑥ボーナスの支給
公立学校の教員の場合、ボーナスは
「基準日(多くの場合4月1日や12月1日)に在職しているか」
が支給の条件になることがあります。
休業のタイミングによっては、
ボーナスの扱いが変わる可能性もあるため注意が必要です。
私は4月1日から休業扱いでしたので、6月のボーナスはもらえませんでした。
他の都道府県から派遣された同じ立場の方々もみなそうでしたので、
「1月~3月までは働いていたのに…」と複雑な気持ちになりました。
制度上のことですから仕方がありません。
⑦住宅ローン控除や給付金
我が家は住宅ローン控除の期間内に海外赴任となりました。
実際に住んでいない期間は住宅ローン控除の対象とならない場合がありますので、
該当する場合は注意したいポイントです。
また、我が家はちょうどコロナ禍に海外に住んでいました。
日本では「特別定額給付金」の支給がありましたが、海外在住中はもらえません。
基本的に住民票がない状態なので、そういった給付金は対象外となる場合があります。
⑧復職後の勤務校
復職後は、必ずしも元の学校に戻るとは限りません。
自治体の人事配置によって、新しい学校に配属される可能性もあります。
私の場合は、所属校の先生と連絡を取ることができ、人事の時期にお話しさせていただくことができましたので、帰国後の4月からスムーズに復職することができました。
休職中に管理職の先生が変わることもありますので、
折を見てこちらからあいさつをしたり、連絡を入れたりすることは大切だと思います。
このように、制度自体は魅力的ですが、
お金や復職の仕組みについては事前に確認しておくことが大切です。
近年は「夫婦派遣枠」という制度もあります。
夫婦ともに教員の場合、条件が合えば2人とも派遣教員として海外赴任することが可能です。
休職をせずに海外経験を積めるため、
キャリアを中断したくない場合には魅力的な選択肢といえます。
ただし制度の有無や条件は自治体や派遣先によって異なるため、
教育委員会の募集情報を確認することが大切です。
このように、いろいろな制度を知っておくと、「辞める」以外にも働き方の選択肢があることに気づきます。
③ 自治体研修・企業派遣・出向制度

教員が学校現場を離れて環境を変える方法として、
自治体の研修制度や企業・行政機関への派遣制度を利用するという選択肢もあります。
これは各自治体の教育委員会が実施している制度で、
一定期間、学校現場を離れて別の組織で経験を積むことができます。
例えば次のような研修があります。
・民間企業への研修派遣
・教育研究機関や大学での研究
・教育委員会や行政機関への出向
私が出会った先生の中には、地元のラジオ局やホテルに1年間出向していた方もいました。
また、教育施設(歴史資料館など)で何年も研究をしている方もいて、教員として採用されたからといって、教室で教えることだけが先生の仕事ではないのだと感じました。
こうした制度を利用すると、学校とは異なる環境で働く経験ができ、
教育に対する視野を広げるきっかけになることがあります。
ただし、募集人数や条件は自治体によって大きく異なります。
興味がある場合は、実際に経験したことのある先生にお話を聞くといいと思います。
また校長先生に、外で学びたいという希望があることを伝えてみるのもいいと思います。
各自治体の教育委員会が、年度初めなどに研修制度を伝えてくれていることもありますので、
忙しい4月ですが、少し意識して確認してみることをおすすめします。
このように、教員には退職以外にもさまざまなキャリアの選択肢があります。
次に、現職のまま大学や大学院で学び直す方法について紹介します。
④ 現職のまま大学・大学院で学び直す

教員を続けながら専門性を高めたい場合、大学や大学院で学び直すという選択肢もあります。
自治体によっては、教員を対象とした大学院派遣研修制度や長期研修制度があり、一定期間、大学院で研究を行うことができます。
例えば、教育学研究科や教科教育の専攻に進学し、
授業研究・教育心理・カリキュラム開発などを専門的に学ぶ先生も少なくありません。
研究テーマを持って学ぶことで、教育現場の課題をより深く考える機会にもなります。
また、自治体によって制度は異なりますが、主に次のような形があります。
・教育委員会の大学院派遣研修(長期研修)
・現職のまま通学する夜間・土日大学院
・一定期間休職して研究する研究休職制度
大学院で得た知識や研究成果を、授業や学校運営に直接生かせる点は大きな魅力です。
一方で、派遣人数は限られていることが多く、選考が行われる場合もあります。
授業料を自分で負担するということもありますので、興味がある場合は、まず自分の自治体の教育委員会の研修制度や大学院派遣制度を確認してみるとよいでしょう。
実際に現職のまま大学院に留学していた先生は、2年目には学校現場に戻り、実地研修という形で働いていました。働きながら研究を続けるのは本当に大変そうだと感じました。
しかし、自分の実践理論をすぐに現場で試すことができる点はおもしろいとおっしゃっていたことが印象的です。
このように、教員は退職しなくても、研修制度や大学院進学などを通してキャリアを広げることができます。
退職するか迷う前に考えたいこと

仕事がつらいと感じたとき、
「もう先生を辞めたい」「辞めるしか道がない」と思い詰めてしまうこともあります。
しかし、実際には「仕事そのもの」がつらいのか、「環境」がつらいのかを整理することが大切です。
例えば、次のような点を一度考えてみてください。
自分の状況に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。
☑今つらいのは仕事の内容か、人間関係か
☑業務量が一時的に増えているだけではないか
☑学校や地域が変われば状況は変わる可能性があるか
☑教育の仕事そのものが嫌になっているのか
教員の仕事は、勤務する学校や環境によって大きく変わることがあります。
今回紹介したように、海外派遣や研修制度、大学院進学など、退職以外にも環境を変える方法はあります。
「辞めるかどうか」を決断する前に、まずはこうした選択肢を知り、
自分にとってどの道がよいのかを、一度立ち止まって整理してみることが大切です。
退職後のキャリア形成についてはこちらの記事にまとめました。
▶教諭退職後の選択肢6選|非常勤・日本語教師・複業まで経験者が解説【40代からでも働ける】
まとめ|「辞める」以外にも道はある

「教員を辞めよう」「辞めたい」と今頭の片隅に浮かんでいる先生方。
本当に毎日お疲れ様です。
悩みながら日々最前線で働いている先生方を、子育て中の母としても元教諭としても尊敬しています。
心が疲れている先生方には是非、
「辞めるしかない」と感じているその気持ちを少し整理して、
どんな働き方をしたいと思っているのか考えてみてほしいと思います。
退職以外にも環境を変える方法はいくつもあります。
この記事では、教員を辞めずに環境を変える方法として次の4つを紹介しました。
・在外教育施設教師派遣制度
・配偶者同行休業による海外帯同
・自治体の研修や企業派遣制度
・大学院などでの学び直し
私自身は、配偶者同行休業を利用して海外生活を経験しました。
学校現場を離れて生活したことで、教育という仕事や自分の働き方を改めて見つめ直すきっかけになりました。
もし今、「辞めるべきかどうか」で悩んでいるのであれば、
退職だけでなく、こうした制度を利用して環境を変える道もあることを知っておいてほしいと思います。
そして最終的に私が選んだのは、教員を退職し非常勤講師として働くという道でした。
現場を離れて、国語教師と「日本語教師」と両方やってみたいという新しい夢ができたからです。
自分の子どもとの時間をもっととりたい、という希望もあり、計画的に準備をして退職しました。
その経緯については、こちらの記事で詳しくまとめています。
▶教員退職から非常勤講師へ!失敗しない準備と働き方
教員の働き方やキャリアの選択肢は、決してひとつではありません。
日々悩みながら現場で頑張られている先生方の選択肢の一つになれば幸いです。



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